沙織さんのトンデモ聖域改革





※パラレル女体化です
 許せる人のみどうぞ。




・簡単設定
 「なんか男女共同参画社会とかでー、実はあなたたちも組織的にはグラード財団に組み込まれてたので、うちもそうしなきゃいけないらしくてー、ごめんなさい」とかそういうノリで、アテナのまじかる小宇宙で女体化された黄金の話。


女体化された面子
・ムウ(なんとなくシオンが推した)
・サガ(教皇補佐が片方女性のほうが、という事で)
・シュラ(年中組から籤で)
・カミュ(20歳組からあみだくじで)





・HYS



「どうしたのかね」
 寝台に横になっている私を見て、シャカが訊く。
 その声すら耳に痛い。というより酷く頭に響く。
 「貧血ですが」
  シャカは少し考えてから「……月のものかね?」などととんでもない回答をしてくる。
 思わずサイコキネシスが暴発してしまったが仕方ないだろう。体調が悪いと制御しづらいのだから。
「違いますよ。サガはもう双子座の聖衣はカノンに託して、教皇補佐に専念すると言ってましたからまだ少しの補正でいいですけど」
 そう言うと得心がいったようだった。シャカはああ、なるほどなと呟く。
 私やシュラやカミュは急激に体型も身長も変わったので、聖衣にかなりの調整が必要だった。
 身体に合わせて自動調整する機能があるとはいえこの変化。
 聖衣も戸惑うのだろう。その調整作業に追われているうちに血が足りなくなったのだ。
「シオン殿には手伝いを頼めなかったのか」
「シオンはここに呼ぶとウザいので呼びません」
  アテナのあの勅令以降、シオンは「娘というのもいいな!」とか言いつつ何度も白羊宮を訪れているが、大変その……ウザい。 こんな服が似合うんじゃないのかとかいい加減にしてほしい。
 先日はついにクリスタルウォールで叩きだしてしまった。


「それで血を抜きすぎたのか」
  ふむ、と頷いてシャカが寝台の横の椅子に座る。
「はい。前だったらあれくらい血を使ってもこんな事にはならなかったしと……」
「体が変わったのだ。無理はしない方がいい」
 そう言って私の額に手を置く。
「何かしてほしいことは、あるかね」
「ないです」
 即座に返答すると、シャカは心外なという顔をした。
 この間うっかりあ、じゃああれやっといてくださいと言ったら白羊宮の私の自室に壊滅的被害をもたらしてくれたのは忘れていない。
「……では仕方ない。私に出来ることをするか」
 椅子から立ち上がって、シャカは聖衣の修復部屋に向かう。
「ちょっ……!」
 何をする気ですか、と追いかけようとして起きあがろうとした瞬間、頭が眩んだ。
 立て直してから、ゆっくり起きあがってシャカを追いかける。

「……」
  ぽたぽたとシャカの腕から滴るのは赤。
  私の聖衣はシャカの血で染まっている。
「私にできることはこれぐらいだからな」
  早く君に元気になってほしいのだ。と呟きつつ、次の聖衣にシャカは血を滴らせる。
  そこに下心が透けているのは見えるが、それでももう構わない。ここまでしてくれるのが、嬉しかった。

「……ありがとうございます」
 そう言った瞬間、シャカの体がぐらりと倒れ込んできた。 受け止めきれずにいっしょに床に倒れる。
 見れば顔が心持ち青ざめている。そういえば身体も普段より軽い……細い。もしやと思って眉をひそめる。
「……すまない、そういえば断食明けだった」
 予想通りの返答だ。
 ああ、もう。 やっぱりこの人は。やっぱりこんなオチか。
  笑いとため息を押し殺して、ゆっくり抱き起こす。
 ゆっくりと居室に戻って、さっきまで自分が寝ていた寝台にシャカを寝かせた。
「仕方ないですね。ご飯作りますから寝ててください」
 上掛けを掛けてやってから私は炊事場へ向かおうとして……引っ張り込まれる。
「何するんですか」
「君も顔色がよくないのだからもう少し寝ていればいい」
 なに、何もしないから安心したまえ。と澄まし顔で付け加えるシャカに、つい信用できませんがと返す。
「時間はまだたくさんあるのだから、ここで焦ったりなどせんよ」

 シャカにぎゅっと抱きすくめられて、仕方ないなと諦めた。
「しかし……」
 そこまで言ってなんでも無いと言いよどんだシャカを私はじろりと見つめる。
「なんですか」
「なんでもな」
「いいえ、今何か言いかけましたよね。言って下さい」
「……怒らないか」
「それは聞いてからじゃないと」
 観念したようにシャカは溜息を吐いて、続けた。
「抱き心地が更によいと言おうとし」
 そこまで聞いて、シャカの頬を引っ張る。
「これで勘弁しておきますけど。もう、本当に……」
 どうしようもない人だなと思いつつ、引っ張った頬に口づけを落とす。
「今はこれで我慢しておいて下さいよ」
 あと少し休んだら自分の宮に戻って下さいねと言いつつ、眠気が来たので私は目を閉じた。
 


「全く……元々男ならこの状況でああいうことをするかね」
 シャカは眠ったムウを腕に抱えて溜息を吐いた。
「……いや、ムウならやるか」
 お互い女性とは縁もなく育ってきた。女心にはとんと疎いのが正直なところだ。
 柔らかな身体を一度抱きしめて、シャカは寝台を出る。
「早々に戻るとするか。こんな状況では落ち着いて休めぬな」
 ムウはもう深い眠りに落ちているようだ。元々疲れているところにサイコキネシスも使ったからだなと納得して、シャカはその寝顔の頬をさらりと撫でる。
「ゆっくり寝てさっさといつもの君に戻るといい」
 その方が楽しい、とシャカは一言置いて、白羊宮をあとにした。
 

同僚の聖闘士が女体化しても焦らないのは多分シャカとディーテさんくらいかなー、あと平和すぎるロスリアくらいなので、
通常運転+ちょっとしたセクハラなシャカが出来上がるというオチでした。